債務整理の一つである自己破産は、裁判所を通じて財産を生産し、借金を免除してもらうことです。
破産の手続きをするには、財産を処分する必要があります。
となると、持ち家・土地があれば、それを売ってしまわなければいけませんが、中には家を手放したくない方もおられると思います。
そういう場合、自己破産手続きをする前に、妻や子供へ名義の変更をしてしまえばいいと考えてしまうかもしれません。
しかし、これは違法になってしまうケースがほとんどですので、気をつけてください。
名義変更が詐欺破産罪にあたる可能性
自己破産手続きをする前に、所有している不動産の名義を変更するというのは、『詐欺破産罪』に当たる可能性があります。
これは破産法の265条1項で禁止されており、違反すると刑事責任を問われることになりかねません。
もし、そうなると十年以下の懲役もしくは千万円以下の罰金を言い渡されることとなります。
そもそも『原因』のない名義変更はできない
不動産の名義を変更する不動産登記手続きにおいては、名義を変更する『原因』が必要です。
法務局には不動産登記簿というものがあります。
それには不動産がどういった『原因』で名義が変わってきたか記載し、保存しなければいけません。
つまり、不動産の取り引きには必ず『原因』が必要になってくるので、ただ単に不動産の名義を書き換えるということはできません。
原因にはたとえば、『売買』や『贈与』といったようなものがあります。
『贈与』という原因ならば、妻や子供へ名義を変更できそうですが、これは『財産の隠匿』にあたるので、免責不許可自由に相当し、自己破産ができなくなります。
どうしても名義変更がしたい場合①
両親や知人に買い取ってもらうという方法があります。
この際、相場よりも安い金額で売るということは許されません。
不当に低い値段で売ることは債権者の不利益になるからです。
あくまで公正な取り引きが行われた、という事実が必要となります。
とはいえ、売却という手段をとっても、財産隠しと見なされる場合があります。
弁護士に相談してから、そういう手段をとることをお勧めします。
どうしても名義変更がしたい場合②
自宅にそのまま住み続けたいという場合は、リースバックという方法があります。
専門の不動産業者に自宅を買い取ってもらい、家賃を払いながら自宅に住み続けるという方法です。
リースバックについてはこちらをご覧ください。
⇒ https://www.senri-c.com/lease_back/
【関連記事】
⇒ 自己破産する前に!持ち家の名義を変更して残すことは可能?
この記事の監修者情報

- 監修者
- 斎藤 善徳(さいとう よしのり)
- 不動産業界歴
- 約20年
- 担当した任意売却数
- 200件以上
- 保持資格
- 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書
- 運営会社:
- 千里コンサルティング株式会社
- 本社オフィス:
- 〒534-0021 大阪市都島区都島本通4-22-4 2階
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